補中益気湯はどんな人に効果がある? 補中益気湯は、疲れを回復するための処方で、特に食事がおいしくない、食べたくないという場合によく効きます。 基本的には、高齢者や病中・病後、産後などで声や目に力がなく、手足がぐったりしているような人に適応がありますが、何となく疲れがある、食後に眠くなる場合などにも利用出来ます。 熱いものを食べたり飲んだりするのを好む傾向がある人に使用されます。 疲労が溜まって息切れや寝汗があるとき、慢性的な下痢、食欲不振、高齢者のかぜひきなどに利用します。 また、痔や疲労時の不正出血、勃起不全 インポテンツ)に利用します。 食欲不振などは服用して数日で改善することもありますが、疲労回復などには長期に利用する必要があることが多いです。 補中益気湯の「中」は中焦(ちゅうしょう)、つまり体の中央部分、脾胃(ひい、胃のこと)の機能を指します。 補中益気湯が適応する証は主に3つあります。 「脾胃気虚(ひいききょ)」証 脾胃気虚とは、消化吸収機能が低下しており、食べ物が体のエネルギーにならない体質のことです。 食が細く、体、特に四肢がだるく疲労倦怠感が強いことが多いです。 すぐに息切れをするようになります。 また、食後にすぐ眠くなります。 便は軟便か、もしくは反対に便秘になる場合もあります。 「気虚下陥(ききょげかん)」証 気虚下陥は、気虚であるために内臓を引き締めてあるべき場所に保つ力が弱くなり、また必要なものがあるべき場所から漏れ出やすいです。 胃下垂、脱肛、ヘルニア、子宮下垂や子宮脱、月経過多、不正出血、めまいや立ちくらみ、発汗、慢性的な下痢などの症状が特徴です。 「気虚発熱(ききょはつねつ)」証 気虚発熱は、体力が低下しているせいで熱の発散が出来ず、熱が体内にこもって浮いてくることを言います。 微熱、ほてり、発汗などの症状が現れます。 喉は渴きますが、冷たいものより温かい飲み物を好むことが多いです。 疲れたときに症状が悪化しやすくなるのが特徴です。 この漢方薬を使う主な症状 補中益気湯は元気がなく、胃腸のはたらきが衰えて、疲れやすい傾向にあるようなの虚弱体質、疲労倦怠、病後・術後の衰弱、食欲不振、寝汗、感冒(風邪)などに使われる漢方薬です。 胃腸がくたびれて体の力が抜け、手足や内臓が下に垂れ下がっているような人に効きます。 かぜを引きやすい、めまい、眼精疲労、口内炎、手足のしびれがある人、食後にすぐ眠くなるような人にもよいです。 病中病後や手術前後、妊娠中や産後の体力保持、あるいは老化防止にも適しています。 君薬の黄耆は、中焦を補い、体表を固めて補気升陽(ほきしょうよう)します。 補気升陽は気虚下陥証を改善する働きのことで、黄耆は補中益気湯のメインの存在です。 臣薬は、人参・甘草・白朮の三薬で、気を補い、脾の機能を高める効能があります。 黄耆との組み合わせで補中益気の効能を強める効果もあります。 黄耆と人参の組み合わせは補気に非常に良い効果を見せます。 半夏白朮天麻湯や清心蓮子飲にも使われる組み合わせです。 黄耆と人参に当帰を加えると、さらに強い補気補血効果を発揮してくれます。 この3つの生薬は、帰脾湯、十全大補湯、人参養栄湯、当帰湯、清暑益気湯などの補剤に配合されています。 佐薬は、当帰と陳皮です。 当帰は気とともに失われる血を補って、また陳皮は気の流れをスムーズにしてそれぞれの生薬の働きを助けます。 胃の働きを高める効果もあります。 升麻と柴胡は少量だと升陽効果があり、中焦で君薬を助ける佐使薬となります。 そして甘草・大棗・生姜は使薬として健牌しつつそれぞれの生薬の調和する効果があります。 これらの補中益気湯の効能を「補中益気、升陽挙陥、甘温除熱」といいます。 補中益気湯の出典は『脾胃論』です。 疲れやすく、胃弱で食欲はあまりありません。 冷え症で手足が冷たいです。 少しの運動で動悸や息切れもします。 補中益気湯を服用し、3力月ほどでめまいや血圧が改善されつつあります。 疲れにくくもなってきたように感じます。 気虚発熱証とみて補中益気湯を使用した例。 風邪もひきやすく、疲労感とだるさはいつもあります。 補中益気湯を1年ほど飲んだところ、胃弱が改善され、食後の眠気が軽減しました。 疲労感も減ったように感じます。 補中益気湯を使用した製品の例一覧 散剤 補中益気湯エキス(クラシエ薬品、小太郎漢方製薬、三和生薬、ツムラ、東洋薬行、松浦薬業 、保中回帰(ウチダ和漢薬 、モリエーポン 大杉製薬 、療方昇陽顆粒 クラシエ薬品 、JPS漢方顆粒-46号 ジェーピーエス製薬 、悦我 太虎精堂製薬 、調寿 建林松鶴堂 、補中益気湯エキス 一元製薬、ウチダ和漢薬、三和生薬、東洋漢方製薬、東洋薬行) 錠剤・カプセル・丸 補中益気湯エキス錠 大峰堂薬品工業、クラシエ薬品、小太郎漢方製薬、三和生薬、ジェーピーエス製薬、伸和製薬、日邦薬品工業、ロート製薬 、ワカゲン錠 クラシエ薬品 、ホエキンN 小太郎漢方製薬 、ホノミホイオー錠 剤盛堂薬品 、錠剤補中益気湯 一元製薬) 液剤 JPS補中益気湯液 ジェーピーエス製)、漢方濃縮煎剤補中益気湯 松浦薬業) 湯薬 補中益気湯(ウチダ和漢薬、タキザワ漢方廠、東洋漢方製薬).
次の自律神経失調症の漢方治療 一、病因病機 〔一〕西洋医学• 精神的なストレス• 慢性的な疲労• 体質の素因• 各種の疾患 〔ニ〕中医学• 七情(喜・怒・憂・思・悲・恐・驚)• 労倦(精神的な疲労・肉体的な疲労・性的な疲労)• 飲食(暴飲暴食・少食・偏食• 外邪の侵入(風・寒・暑・湿・燥・火• 先天の素因(性格)• 臓腑の虚損 二、常用漢方エキス剤 〔一〕柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう) 【組成】柴胡、黄? 、半夏、桂枝、茯苓、人参、牡蛎、竜骨、大棗、生姜 【効能】清熱安神、補気健脾、化痰止嘔 【主治・適応症】いらいら、怒りっぽい、落ち着かない、驚きやすい、動悸、不眠、夢が多い、のぼせ、胸脇苦満などの心肝火旺の症候に、体がだるくて疲れやすい、食欲不振、悪心、腹部膨満感などの脾気虚・痰湿の症候を伴うもの、舌質は紅、舌苔は黄やや膩、脈は弦数。 【臨床応用】臨床では、精神不安、いらいら、動悸、不眠、驚きやすい、落ち着かないなどの症候が本方投与のポイントである。 精神分裂症、てんかん、神経症・自律神経失調症、不眠、耳鳴り、甲状腺機能亢進症、神経性頭痛、ヒステリー性失明、心臓神経症、発作性頻尿、高血圧などの疾患。 【参考】本方は、薬理研究によって• 中枢神経の異常興奮を抑制する• 鎮静・鎮痙作用• 脂質代謝の改善作用• 心血管損傷の保護作用などが証明されている。 【使用上の注意】• 本方は燥性がつよいので、ほてり・のぼせ・潮熱・寝汗の陰虚・陰虚火旺の症候を伴うときに禁止する。 血圧が低いものに慎重に投与しない。 〔ニ〕甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう) 【組成】甘草、小麦、大棗 【効能】養血安神、和中緩急 【主治・適応症】ぼんやりする、悲哀感がありよく泣く、焦燥で心が落ち着かない、睡眠が浅い、甚だしいと異常な言動をする、あくびがよく出る、舌質は紅、舌苔は少ない、脈は細数など。 【臨床応用】本方は平素体虚・憂思過度・心陰不足・肝気不和による臓燥症(ヒステリー様の症候)を治療する処方であり、焦燥感・ぼんやりする・悲哀感・睡眠不安・脈の細数などが投与のポイントである。 ヒステリー症(甘麦大棗湯合六君子湯、甘麦大棗湯合酸棗仁湯)、精神分裂症(甘麦大棗湯合柴胡加竜骨牡蛎湯)、更年期症候群、てんかん発作、小児夜泣き、小児夜尿症、小児夜驚症、ヒステリー球、多汗症などの疾患。 【参考】本方は、薬理研究によって• 中枢神経の異常興奮を抑制する• 鎮静・鎮痙・鎮痛作用• 肝庇護作用• 抗アレルギー作用• 長期的服用による血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加などの偽アルドステロン症を認めるなどが証明されている。 【使用上の注意】• アルドステロン症、ミオパチー、低カリウム血症の患者に投与しない。 長期間投与する場合には血清カリウム値や血圧の測定を十分に行い、異常が認められるときに投与を中止する。 フロセミド、エタクリン酸又はチアジド系利尿剤との併用により血清カリウム値の低下が現れやすくなるので、注意する必要がある。 〔三〕桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう) 【組成】桂枝、芍薬、竜骨、牡蛎、甘草、大棗、生姜 【効能】通陽、安神、調和営衛、収斂固渋 【主治・適応症】不安感、不眠、頭のふらつき、潮熱、動悸、煩燥、驚きやすい、夢が多い、手足の冷え、疲れやすい、舌質は淡、舌苔は薄白やや乾燥、脈は浮弱あるいは? 、微、動など。 【臨床応用】本方は「金匱要略」で男性の夢精・女性の夢交を治療する処方であり、近来、神経症や自律神経失調症などの多種疾患に陰陽両虚、気血不足、虚陽浮越の症候が見られる場合にも用いられる。 「虚陽浮越」とは、軽度の体力低下に伴う脳の刺激閾値の低下によって現れる症候と考えられる。 性的神経衰弱(男性性功能障害で、射精不能、陽萎、早漏)、不眠、心臓神経症、多汗症、自律神経失調症、小児肺炎、慢性腸炎、前立腺肥大、慢性前立腺炎、夜尿症、夢遊症、めまい、蕁麻疹などの疾患に神経過敏、精神不安、潮熱、唇や口の乾燥感、動悸、多夢などの症候が見られる場合には本方を投与する。 【参考】本方は、薬理研究によって、• 竜骨・牡蛎は豊富なカルシウム分を含み、鎮静・鎮痙に働いて脳の興奮性をしずめ刺激閾値を上昇させ、かつ止汗作用によって津液を保持する• 芍薬・大棗は滋養強壮作用の以外に、鎮静・鎮痙作用があり、炙甘草も鎮痙効果をつよめる• 桂枝・生姜は血管拡張によって血液循環を促進し、消化吸収をつよめ、全身に栄養をゆきわたらせるなどが考えられる。 【使用上の注意】• 発疹、痒みなどの過敏症状が現れると中止すべきである。 高血圧、顔面の紅潮、怒りぽっいのものに投与しない。 〔四〕酸棗仁湯(さんそうにんとう) 【組成】酸棗仁、炙甘草、知母、茯苓、川? 【効能】養血安神、清熱除煩 【主治・適応症】不眠、煩燥、夢が多い、よく目がさめる、動悸、盗汗、頭のふらつき、めまい、口や咽喉部の乾燥感、舌質は紅、脈は弦あるいは細数など。 【臨床応用】本方は肝血不足・虚火上擾による虚煩不眠を治療する処方であり、虚煩・不眠・動悸・口や咽喉の乾燥感・脈の弦細などが投与のポイント症候である。 更年期症候群・神経症・自律神経失調症・高血圧・心臓病などによる不眠、心臓神経症・不整脈、夢遺(遺精)、ヒステリー(酸棗仁湯合甘麦大棗湯)などの疾患。 【参考】本方は、薬理研究によって• 神経細胞の過度興奮を抑制する• 鎮静安定剤の中枢抑制作用を増強する• 激しい刺激を抵抗する能力を増強する• 不整脈を治療する• 組織細胞の機能を調節する• 鎮静・催眠作用などが証明されている。 【使用上の注意】• 胃腸虚弱の患者に下痢を起こす恐れがあるので慎重に投与すべきである。 不眠がひどい患者に安定剤や睡眠導入剤を一緒に投与してもよい。 〔五〕半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう) 【組成】半夏、茯苓、厚朴、蘇葉、生姜 【効能】行気散結、降逆化痰 【主治・適応症】咽喉部に梗塞感や異物感があり嚥下しても喀出してもとれない、胸部が脹って苦しい、咳、痰、悪心、嘔吐、喘鳴、腹部膨満感、舌苔が白潤あるいは白膩、脈が弦滑。 【臨床応用】本方は、咽喉部の梗塞感や異物感、胸部の脹満感、咳、痰、悪心、嘔吐、喘鳴、腹部膨満感などの症候が現われる場合に用いる。 ヒステリー球(梅核気)、咽喉部の異物感、胃食道逆流症、神経性胃炎・胃炎、神経症、抑うつ、自律神経失調症、声帯浮腫、神経性嘔吐、妊娠嘔吐、咽喉神経症、ヒステリー、放射線治療や化学療法による悪心・嘔吐など疾患。 型のアレルギー反応に対して著明な拮抗作用を示すなどが証明されている。 【使用上注意】• 本方は燥性が強いので、ほてりやのぼせなどの陰虚症が見られる場合には投与しない。 本方は癌による咽喉部や食道部の梗塞感や異物感に対して効果がない。 〔六〕加味逍遥散(かみしょうよんさん) 【組成】当帰、芍薬、白朮、茯苓、柴胡、甘草、丹皮、山梔子 【効能】疏肝健脾、和血調経、清熱瀉火。 【主治・適応症】胸脇部が脹って苦しい、ゆううつ感、いらいら、怒りっぽい、頭痛、潮熱、顔面の紅潮、口や咽喉部の乾燥感、疲れやすい、女性では、月経不順、月経痛、月経前の乳房脹痛、下腹部の脹痛、無月経など。 舌質が紅、舌苔が薄黄、脈が弦細数。 【臨床応用】臨床では、本方を投与する場合には肝気鬱結・肝鬱化火の病態を把握しなければならない。 胸脇部が脹って苦しい、ゆううつ感、いらいら、怒りっぽい、頭痛、潮熱、顔面の紅潮、口や咽喉部の乾燥感、疲れやすいなどは本方を用いるポイント症候である。 自律神経失調症・抑うつ症・ヒステリー・神経症、更年期障害、月経不順、月経痛、不正性出血、月経前期症候群、乳腺症、慢性乳腺炎、慢性肝炎、微熱、肩こり、皮質性失明、視神経炎、中心性網膜炎、網膜中央静脈梗塞、老年性白内障、化膿性角膜潰瘍、慢性甲状腺炎、過敏性腸症候群、胃十二指腸潰瘍、神経性胃炎、神経性下痢、胆嚢炎、胆石症、月経前後症候群、不妊症、産後不眠症、精神分裂症などの疾患。 【参考】薬理研究によって• 本剤は抑うつ症や不眠症に対しては昼と夜のリズムや睡眠リズムの乱れを改善する作用を示している• 更年期障害や卵巣摘出術後の患者に本剤を投与して検討したことによって血管運動神経症状・精神神経症状・知覚運動器官症状・消化器症状に対して極めて高い有効率を認めたと報告されている• 本剤はLHとFSHの量を抑制する傾向が臨床研究や基礎研究から示されている• ラットの急性肝障害に対して本剤を投与したことによって血清GPT・GOTを低下させ肝細胞の脂肪病変や退行性変性を軽減し肝細胞の再生を促進した効果を報告されている• 鎮痛作用・抗抑うつ作用・自律神経調整作用なども報告されている。 本剤が適応する病態については、消化吸収機能の低下(脾虚)と栄養不良状態や内分泌系の失調状態(血虚)が基礎になり、自律神経系の失調(肝気鬱結)や自律神経系の興奮(肝鬱化火)が加えたものであると考えられる。 【使用上の注意】• 妊婦及び妊娠している可能性のある婦人に慎重に投与する。 胃腸が虚弱しているものに下痢や腹痛を起こす恐れがあるので慎重に投与すべきである。 三、症候による漢方エキス剤の使い方 臨 床 の 症 候 漢方エキス剤 肝鬱気滞型: 気にしやすい、胸のつまり感、うつ傾向、咽喉部や食道部の異物感、食欲不振、腹部膨満感、あるいは不快感や痞え感など、舌質が淡、舌苔が薄白、脈が弦あるいは弦渋。 24 加味逍遥散 96 柴朴湯 16 半夏厚朴湯 肝陽上亢型: 精神興奮、いらいらして怒り易い、動悸、顔色が赤く、目の充血、上腹部膨満感、口が苦く、頭痛、肩こり、鼻血、不眠、便秘など。 舌質が紅絳、舌苔が薄黄、脈が沈弦。 12 柴胡加竜骨牡蛎湯 8 大柴胡湯 113 三黄瀉心湯 肝腎陰虚型: 疲労倦怠感、手足のほてり、のぼせ、潮熱、口渇あるいは咽喉部の乾燥感、めまい、寝汗など。 舌質が紅、舌苔がなし、脈が細数。 87 六味地黄丸 93 滋陰降火湯 心脾両虚型: 体がだるくて疲れやすい、不眠、眠りが浅く夢が多い、心悸、物忘れ、集中力の低下、食欲不振、軟便など。 舌質が淡紅、舌苔が薄白、脈が細弱。 65 帰脾湯 137 加味帰脾湯 103 酸棗仁湯 気陰両虚型: 疲労倦怠感、何もしたくない、不眠、動悸、不整脈、物忘れ、手足のほてり、のぼせ、口唇や咽喉部の乾燥感、頻尿、舌質が淡紅、舌苔が少ないあるいは地図状、脈が沈細数弱。 136 清暑益気湯 64 炙甘草湯 111 清心蓮子飲 気虚型: 疲労倦怠感、元気がない、声が小さい、少し動くと息切れ、自汗、食欲不振、立ちくらみ、ふらつく、かぜを引きやすいなど。 舌質が淡、舌苔が薄白、脈が沈細弱あるいは虚。 41 補中益気湯 43 六君子湯 気血両虚型: 気虚の症候に顔色が悪い、つやがない、貧血気味、低血圧、手足の冷えなどを伴う。 48 十全大補湯 108 人参養栄湯 脾腎陽虚型: 顔色が青白く、寒がり、四肢の冷え、元気がない、疲労倦怠感、食欲不振、軟便あるいは下痢など。 舌質が淡、舌苔が白、脈が沈遅あるいは細弱。 87 六味地黄丸.
次の自律神経失調症の漢方治療 一、病因病機 〔一〕西洋医学• 精神的なストレス• 慢性的な疲労• 体質の素因• 各種の疾患 〔ニ〕中医学• 七情(喜・怒・憂・思・悲・恐・驚)• 労倦(精神的な疲労・肉体的な疲労・性的な疲労)• 飲食(暴飲暴食・少食・偏食• 外邪の侵入(風・寒・暑・湿・燥・火• 先天の素因(性格)• 臓腑の虚損 二、常用漢方エキス剤 〔一〕柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう) 【組成】柴胡、黄? 、半夏、桂枝、茯苓、人参、牡蛎、竜骨、大棗、生姜 【効能】清熱安神、補気健脾、化痰止嘔 【主治・適応症】いらいら、怒りっぽい、落ち着かない、驚きやすい、動悸、不眠、夢が多い、のぼせ、胸脇苦満などの心肝火旺の症候に、体がだるくて疲れやすい、食欲不振、悪心、腹部膨満感などの脾気虚・痰湿の症候を伴うもの、舌質は紅、舌苔は黄やや膩、脈は弦数。 【臨床応用】臨床では、精神不安、いらいら、動悸、不眠、驚きやすい、落ち着かないなどの症候が本方投与のポイントである。 精神分裂症、てんかん、神経症・自律神経失調症、不眠、耳鳴り、甲状腺機能亢進症、神経性頭痛、ヒステリー性失明、心臓神経症、発作性頻尿、高血圧などの疾患。 【参考】本方は、薬理研究によって• 中枢神経の異常興奮を抑制する• 鎮静・鎮痙作用• 脂質代謝の改善作用• 心血管損傷の保護作用などが証明されている。 【使用上の注意】• 本方は燥性がつよいので、ほてり・のぼせ・潮熱・寝汗の陰虚・陰虚火旺の症候を伴うときに禁止する。 血圧が低いものに慎重に投与しない。 〔ニ〕甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう) 【組成】甘草、小麦、大棗 【効能】養血安神、和中緩急 【主治・適応症】ぼんやりする、悲哀感がありよく泣く、焦燥で心が落ち着かない、睡眠が浅い、甚だしいと異常な言動をする、あくびがよく出る、舌質は紅、舌苔は少ない、脈は細数など。 【臨床応用】本方は平素体虚・憂思過度・心陰不足・肝気不和による臓燥症(ヒステリー様の症候)を治療する処方であり、焦燥感・ぼんやりする・悲哀感・睡眠不安・脈の細数などが投与のポイントである。 ヒステリー症(甘麦大棗湯合六君子湯、甘麦大棗湯合酸棗仁湯)、精神分裂症(甘麦大棗湯合柴胡加竜骨牡蛎湯)、更年期症候群、てんかん発作、小児夜泣き、小児夜尿症、小児夜驚症、ヒステリー球、多汗症などの疾患。 【参考】本方は、薬理研究によって• 中枢神経の異常興奮を抑制する• 鎮静・鎮痙・鎮痛作用• 肝庇護作用• 抗アレルギー作用• 長期的服用による血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加などの偽アルドステロン症を認めるなどが証明されている。 【使用上の注意】• アルドステロン症、ミオパチー、低カリウム血症の患者に投与しない。 長期間投与する場合には血清カリウム値や血圧の測定を十分に行い、異常が認められるときに投与を中止する。 フロセミド、エタクリン酸又はチアジド系利尿剤との併用により血清カリウム値の低下が現れやすくなるので、注意する必要がある。 〔三〕桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう) 【組成】桂枝、芍薬、竜骨、牡蛎、甘草、大棗、生姜 【効能】通陽、安神、調和営衛、収斂固渋 【主治・適応症】不安感、不眠、頭のふらつき、潮熱、動悸、煩燥、驚きやすい、夢が多い、手足の冷え、疲れやすい、舌質は淡、舌苔は薄白やや乾燥、脈は浮弱あるいは? 、微、動など。 【臨床応用】本方は「金匱要略」で男性の夢精・女性の夢交を治療する処方であり、近来、神経症や自律神経失調症などの多種疾患に陰陽両虚、気血不足、虚陽浮越の症候が見られる場合にも用いられる。 「虚陽浮越」とは、軽度の体力低下に伴う脳の刺激閾値の低下によって現れる症候と考えられる。 性的神経衰弱(男性性功能障害で、射精不能、陽萎、早漏)、不眠、心臓神経症、多汗症、自律神経失調症、小児肺炎、慢性腸炎、前立腺肥大、慢性前立腺炎、夜尿症、夢遊症、めまい、蕁麻疹などの疾患に神経過敏、精神不安、潮熱、唇や口の乾燥感、動悸、多夢などの症候が見られる場合には本方を投与する。 【参考】本方は、薬理研究によって、• 竜骨・牡蛎は豊富なカルシウム分を含み、鎮静・鎮痙に働いて脳の興奮性をしずめ刺激閾値を上昇させ、かつ止汗作用によって津液を保持する• 芍薬・大棗は滋養強壮作用の以外に、鎮静・鎮痙作用があり、炙甘草も鎮痙効果をつよめる• 桂枝・生姜は血管拡張によって血液循環を促進し、消化吸収をつよめ、全身に栄養をゆきわたらせるなどが考えられる。 【使用上の注意】• 発疹、痒みなどの過敏症状が現れると中止すべきである。 高血圧、顔面の紅潮、怒りぽっいのものに投与しない。 〔四〕酸棗仁湯(さんそうにんとう) 【組成】酸棗仁、炙甘草、知母、茯苓、川? 【効能】養血安神、清熱除煩 【主治・適応症】不眠、煩燥、夢が多い、よく目がさめる、動悸、盗汗、頭のふらつき、めまい、口や咽喉部の乾燥感、舌質は紅、脈は弦あるいは細数など。 【臨床応用】本方は肝血不足・虚火上擾による虚煩不眠を治療する処方であり、虚煩・不眠・動悸・口や咽喉の乾燥感・脈の弦細などが投与のポイント症候である。 更年期症候群・神経症・自律神経失調症・高血圧・心臓病などによる不眠、心臓神経症・不整脈、夢遺(遺精)、ヒステリー(酸棗仁湯合甘麦大棗湯)などの疾患。 【参考】本方は、薬理研究によって• 神経細胞の過度興奮を抑制する• 鎮静安定剤の中枢抑制作用を増強する• 激しい刺激を抵抗する能力を増強する• 不整脈を治療する• 組織細胞の機能を調節する• 鎮静・催眠作用などが証明されている。 【使用上の注意】• 胃腸虚弱の患者に下痢を起こす恐れがあるので慎重に投与すべきである。 不眠がひどい患者に安定剤や睡眠導入剤を一緒に投与してもよい。 〔五〕半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう) 【組成】半夏、茯苓、厚朴、蘇葉、生姜 【効能】行気散結、降逆化痰 【主治・適応症】咽喉部に梗塞感や異物感があり嚥下しても喀出してもとれない、胸部が脹って苦しい、咳、痰、悪心、嘔吐、喘鳴、腹部膨満感、舌苔が白潤あるいは白膩、脈が弦滑。 【臨床応用】本方は、咽喉部の梗塞感や異物感、胸部の脹満感、咳、痰、悪心、嘔吐、喘鳴、腹部膨満感などの症候が現われる場合に用いる。 ヒステリー球(梅核気)、咽喉部の異物感、胃食道逆流症、神経性胃炎・胃炎、神経症、抑うつ、自律神経失調症、声帯浮腫、神経性嘔吐、妊娠嘔吐、咽喉神経症、ヒステリー、放射線治療や化学療法による悪心・嘔吐など疾患。 型のアレルギー反応に対して著明な拮抗作用を示すなどが証明されている。 【使用上注意】• 本方は燥性が強いので、ほてりやのぼせなどの陰虚症が見られる場合には投与しない。 本方は癌による咽喉部や食道部の梗塞感や異物感に対して効果がない。 〔六〕加味逍遥散(かみしょうよんさん) 【組成】当帰、芍薬、白朮、茯苓、柴胡、甘草、丹皮、山梔子 【効能】疏肝健脾、和血調経、清熱瀉火。 【主治・適応症】胸脇部が脹って苦しい、ゆううつ感、いらいら、怒りっぽい、頭痛、潮熱、顔面の紅潮、口や咽喉部の乾燥感、疲れやすい、女性では、月経不順、月経痛、月経前の乳房脹痛、下腹部の脹痛、無月経など。 舌質が紅、舌苔が薄黄、脈が弦細数。 【臨床応用】臨床では、本方を投与する場合には肝気鬱結・肝鬱化火の病態を把握しなければならない。 胸脇部が脹って苦しい、ゆううつ感、いらいら、怒りっぽい、頭痛、潮熱、顔面の紅潮、口や咽喉部の乾燥感、疲れやすいなどは本方を用いるポイント症候である。 自律神経失調症・抑うつ症・ヒステリー・神経症、更年期障害、月経不順、月経痛、不正性出血、月経前期症候群、乳腺症、慢性乳腺炎、慢性肝炎、微熱、肩こり、皮質性失明、視神経炎、中心性網膜炎、網膜中央静脈梗塞、老年性白内障、化膿性角膜潰瘍、慢性甲状腺炎、過敏性腸症候群、胃十二指腸潰瘍、神経性胃炎、神経性下痢、胆嚢炎、胆石症、月経前後症候群、不妊症、産後不眠症、精神分裂症などの疾患。 【参考】薬理研究によって• 本剤は抑うつ症や不眠症に対しては昼と夜のリズムや睡眠リズムの乱れを改善する作用を示している• 更年期障害や卵巣摘出術後の患者に本剤を投与して検討したことによって血管運動神経症状・精神神経症状・知覚運動器官症状・消化器症状に対して極めて高い有効率を認めたと報告されている• 本剤はLHとFSHの量を抑制する傾向が臨床研究や基礎研究から示されている• ラットの急性肝障害に対して本剤を投与したことによって血清GPT・GOTを低下させ肝細胞の脂肪病変や退行性変性を軽減し肝細胞の再生を促進した効果を報告されている• 鎮痛作用・抗抑うつ作用・自律神経調整作用なども報告されている。 本剤が適応する病態については、消化吸収機能の低下(脾虚)と栄養不良状態や内分泌系の失調状態(血虚)が基礎になり、自律神経系の失調(肝気鬱結)や自律神経系の興奮(肝鬱化火)が加えたものであると考えられる。 【使用上の注意】• 妊婦及び妊娠している可能性のある婦人に慎重に投与する。 胃腸が虚弱しているものに下痢や腹痛を起こす恐れがあるので慎重に投与すべきである。 三、症候による漢方エキス剤の使い方 臨 床 の 症 候 漢方エキス剤 肝鬱気滞型: 気にしやすい、胸のつまり感、うつ傾向、咽喉部や食道部の異物感、食欲不振、腹部膨満感、あるいは不快感や痞え感など、舌質が淡、舌苔が薄白、脈が弦あるいは弦渋。 24 加味逍遥散 96 柴朴湯 16 半夏厚朴湯 肝陽上亢型: 精神興奮、いらいらして怒り易い、動悸、顔色が赤く、目の充血、上腹部膨満感、口が苦く、頭痛、肩こり、鼻血、不眠、便秘など。 舌質が紅絳、舌苔が薄黄、脈が沈弦。 12 柴胡加竜骨牡蛎湯 8 大柴胡湯 113 三黄瀉心湯 肝腎陰虚型: 疲労倦怠感、手足のほてり、のぼせ、潮熱、口渇あるいは咽喉部の乾燥感、めまい、寝汗など。 舌質が紅、舌苔がなし、脈が細数。 87 六味地黄丸 93 滋陰降火湯 心脾両虚型: 体がだるくて疲れやすい、不眠、眠りが浅く夢が多い、心悸、物忘れ、集中力の低下、食欲不振、軟便など。 舌質が淡紅、舌苔が薄白、脈が細弱。 65 帰脾湯 137 加味帰脾湯 103 酸棗仁湯 気陰両虚型: 疲労倦怠感、何もしたくない、不眠、動悸、不整脈、物忘れ、手足のほてり、のぼせ、口唇や咽喉部の乾燥感、頻尿、舌質が淡紅、舌苔が少ないあるいは地図状、脈が沈細数弱。 136 清暑益気湯 64 炙甘草湯 111 清心蓮子飲 気虚型: 疲労倦怠感、元気がない、声が小さい、少し動くと息切れ、自汗、食欲不振、立ちくらみ、ふらつく、かぜを引きやすいなど。 舌質が淡、舌苔が薄白、脈が沈細弱あるいは虚。 41 補中益気湯 43 六君子湯 気血両虚型: 気虚の症候に顔色が悪い、つやがない、貧血気味、低血圧、手足の冷えなどを伴う。 48 十全大補湯 108 人参養栄湯 脾腎陽虚型: 顔色が青白く、寒がり、四肢の冷え、元気がない、疲労倦怠感、食欲不振、軟便あるいは下痢など。 舌質が淡、舌苔が白、脈が沈遅あるいは細弱。 87 六味地黄丸.
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