縫合糸。 新私たちの暮らしと医療機器

縫合糸の種類|違いをきちんと理解して使い分けてますか?

縫合糸

手塚治虫さんが描かれた「ブラックジャック」という漫画をご存知かな?主人公の顔には大きな傷痕が残っているね。 小さい頃、事故で重傷を負い、皮膚の移植手術を受けたからだそうじゃ。 当時の縫合技術では、痕を大きく残してしまったのだね。 現在は、髪の毛の太さの50分の1という極細の糸や針が開発され、また縫合技術も大きく向上したため、手術痕をほとんど残さずきれいに治すことが可能になったそうじゃ。 今回は、その「縫合糸」、特に「吸収性縫合糸」について見てみよう。 (2012年12月掲載) 手術に使用される縫合糸は、紀元前3世紀の古代エジプト時代から存在しているそうじゃ。 当時の外科手術では、亜麻の繊維を使って縫合していたという。 その後、動物の皮ひもや、樹皮から取った繊維、木綿や絹、馬の毛、動物の腱など、さまざまな材料が用いられ外科手術が行われて来た。 紀元25年には、ローマにて血管の吻合(ふんごう:管と管をつなぐこと)が行われた記録があるそうじゃ。 長い間、こうした植物や動物の組織を素材とした縫合糸が使われて来たが、大きく変わったのは、長い歴史でみればごく最近の第二次世界大戦後のこと。 「合成繊維」が開発されて以降、細くて丈夫な縫合糸が生まれ、外科手術を大きく進歩させたのじゃよ。 また、ここ20年ほどで組織に吸収される「吸収糸」が開発・普及されたことで、たとえば、体内に残った糸が後に炎症や感染の原因となるリスクを軽減できるなど、大きな進化を遂げているのじゃ。 縫合糸の役割は、外科手術において、切り離された組織同士をつなぎ合わせること。 組織同士を接触させていれば、組織自身が持つ回復力で再生していく。 再生後は抜糸する場合もあれば、そのまま体内に残しておく場合もある。 吸収糸は縫合糸の中でも、時間とともに体内に吸収されるタイプだ。 縫合糸は、人間の生体にとっては「異物」。 素材を厳選してもどうしても多少の異物反応が起こり、糸を体外に出そうとする働きが始まったり、肉で覆って肉芽を作ってしまったりする。 手術で使用される縫合糸には次のような特性が求められるそうじゃよ。 細くても保たれる均一で高い抗張力(引っぱり強さ)• 均一な直径• 滅菌されていること• 結びやすい柔軟さと、結んだ後にそれを保持する力があること• 組織に対して生物学的、科学的、物理的な影響が少ないこと などだ。 では、縫合糸にはどのような種類があるのだろうか。 縫合糸は、素材・生体内変化・形状によって分類される。 まず、「素材」では大きく分けて、「絹糸など天然素材を使った糸」と「合成繊維を使った糸」に分けられ、それぞれ「生体内変化」の異なる「組織に吸収されないもの」と「吸収されるもの」があり、さらに「形状」として「1本の単糸でできている『モノフィラメント』」と「何本かを束ねて編み込まれた『ブレイド』」に分けられる。 たとえば、「モノフィラメント」は、糸によりがかかっていないために菌が付着しにくいなどの利点がある一方で、しなやかさが少なく、結んでもほどけやすいなどの特徴を、「ブレイド」は、編み込まれているために万が一細菌が存在する場合その温床となる可能性がある一方で、とてもしなやかで結び目がほどけにくいなどの特徴を持つ。 このように、それぞれ長所が異なり、どの縫合糸が良いのかは、手術の場所や状況によって選ばれるそうじゃ。 第二次世界大戦後の合成繊維の縫合糸開発は、画期的だったのじゃよ。 それは、馬の毛や絹糸、動物の腸などで作った糸は、どうしても人間にとっては異種たんぱくを含むものであり、赤く腫れたりするなどの組織反応が起きてしまうからじゃ。 糸を抜いてもその痕が残ってしまうのは炎症の起こった証拠なのじゃ。 それに対しナイロンやポリエステルなどの合成繊維で作られた糸は、組織反応をかなり軽減することができた。 合成繊維のものが開発されたことで、髪の毛の太さの50分の1という極細の縫合糸も生み出すことができたんじゃよ。 こうした極細の糸を使う手術は顕微鏡下で行われておる。

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手塚治虫さんが描かれた「ブラックジャック」という漫画をご存知かな?主人公の顔には大きな傷痕が残っているね。 小さい頃、事故で重傷を負い、皮膚の移植手術を受けたからだそうじゃ。 当時の縫合技術では、痕を大きく残してしまったのだね。 現在は、髪の毛の太さの50分の1という極細の糸や針が開発され、また縫合技術も大きく向上したため、手術痕をほとんど残さずきれいに治すことが可能になったそうじゃ。 今回は、その「縫合糸」、特に「吸収性縫合糸」について見てみよう。 (2012年12月掲載) 手術に使用される縫合糸は、紀元前3世紀の古代エジプト時代から存在しているそうじゃ。 当時の外科手術では、亜麻の繊維を使って縫合していたという。 その後、動物の皮ひもや、樹皮から取った繊維、木綿や絹、馬の毛、動物の腱など、さまざまな材料が用いられ外科手術が行われて来た。 紀元25年には、ローマにて血管の吻合(ふんごう:管と管をつなぐこと)が行われた記録があるそうじゃ。 長い間、こうした植物や動物の組織を素材とした縫合糸が使われて来たが、大きく変わったのは、長い歴史でみればごく最近の第二次世界大戦後のこと。 「合成繊維」が開発されて以降、細くて丈夫な縫合糸が生まれ、外科手術を大きく進歩させたのじゃよ。 また、ここ20年ほどで組織に吸収される「吸収糸」が開発・普及されたことで、たとえば、体内に残った糸が後に炎症や感染の原因となるリスクを軽減できるなど、大きな進化を遂げているのじゃ。 縫合糸の役割は、外科手術において、切り離された組織同士をつなぎ合わせること。 組織同士を接触させていれば、組織自身が持つ回復力で再生していく。 再生後は抜糸する場合もあれば、そのまま体内に残しておく場合もある。 吸収糸は縫合糸の中でも、時間とともに体内に吸収されるタイプだ。 縫合糸は、人間の生体にとっては「異物」。 素材を厳選してもどうしても多少の異物反応が起こり、糸を体外に出そうとする働きが始まったり、肉で覆って肉芽を作ってしまったりする。 手術で使用される縫合糸には次のような特性が求められるそうじゃよ。 細くても保たれる均一で高い抗張力(引っぱり強さ)• 均一な直径• 滅菌されていること• 結びやすい柔軟さと、結んだ後にそれを保持する力があること• 組織に対して生物学的、科学的、物理的な影響が少ないこと などだ。 では、縫合糸にはどのような種類があるのだろうか。 縫合糸は、素材・生体内変化・形状によって分類される。 まず、「素材」では大きく分けて、「絹糸など天然素材を使った糸」と「合成繊維を使った糸」に分けられ、それぞれ「生体内変化」の異なる「組織に吸収されないもの」と「吸収されるもの」があり、さらに「形状」として「1本の単糸でできている『モノフィラメント』」と「何本かを束ねて編み込まれた『ブレイド』」に分けられる。 たとえば、「モノフィラメント」は、糸によりがかかっていないために菌が付着しにくいなどの利点がある一方で、しなやかさが少なく、結んでもほどけやすいなどの特徴を、「ブレイド」は、編み込まれているために万が一細菌が存在する場合その温床となる可能性がある一方で、とてもしなやかで結び目がほどけにくいなどの特徴を持つ。 このように、それぞれ長所が異なり、どの縫合糸が良いのかは、手術の場所や状況によって選ばれるそうじゃ。 第二次世界大戦後の合成繊維の縫合糸開発は、画期的だったのじゃよ。 それは、馬の毛や絹糸、動物の腸などで作った糸は、どうしても人間にとっては異種たんぱくを含むものであり、赤く腫れたりするなどの組織反応が起きてしまうからじゃ。 糸を抜いてもその痕が残ってしまうのは炎症の起こった証拠なのじゃ。 それに対しナイロンやポリエステルなどの合成繊維で作られた糸は、組織反応をかなり軽減することができた。 合成繊維のものが開発されたことで、髪の毛の太さの50分の1という極細の縫合糸も生み出すことができたんじゃよ。 こうした極細の糸を使う手術は顕微鏡下で行われておる。

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吸収糸と非吸収糸 吸収糸は一定期間は張力を維持しますが、時間とともに加水分解され体内へ吸収されていきます。 消化管、皮下組織、膀胱などの尿路などは吸収糸を用いられ、非吸収糸は生体内で分解されないので長期間にわたって張力を維持したい部位、血管や心臓の弁や靭帯などに用いられます。 バイクリルラピッドは1週間程で吸収が始まるといったように、吸収糸の分解される期間も商品によって異なります。 特に膀胱などの尿路系は残った糸を核として結石などができる可能性があるので、吸収糸でもラピッドのような残存期間が少ないものが使用されたりします。 天然糸か合成糸か 現在使用される天然糸は蚕 かいこ から作られる絹糸 シルク だけです。 以前までは牛の腸から作られるカットグッドが使用されていましたが、BSE問題 2001年にあった牛海綿状脳症に感染した牛が発見された問題(詳しくは)後から使用されなくなりました。 合成糸はナイロンやPDSなどのさまざまな種類があります。 モノフィラメントかブレイドか モノフィラメントは単糸とも呼ばれ、ブレイドは編糸 あみいと やより糸とも呼ばれます。 モノフィラメントは単糸なので、組織通過性がよいので組織を傷付けにくいです。 編まれていないので感染にも強いです。 ブレイドはしなやかで結びやすく結び目も緩みにくいです。 編まれているので繊維と繊維の間に細菌が入り込むことがあり、感染対策的にはモノフィラメントに劣ります。 縫合糸一覧 吸収糸・ブレイド バイクリル、ポリゾーブ バイクリルは有名ですね、汎用性があり様々部位に使用されます。 吸収されるまでが早いバイクリルラピッドや、抗菌作用のあるバイクリルプラスなど種類が豊富です。 改良版にマクソンなどがあります。 モノクリルは7日程度で張力が弱まります。 4-0モノクリルは真皮縫合などで使用されます。 非吸収糸・ブレイド 絹糸 天然糸で扱いやすいですが、切れやすいという欠点もあります。 手術だけでなく、デバイス類の固定など様々な場所で使用されます。 非吸収糸・モノフィラメント ナイロン、プロリン ナイロンは張力が強く、単糸なので感染に強いです。 結び目が緩くなりやすいので何度か結ぶ必要があります。 プロリンはポリプロピレンが素材であり、ナイロンよりも強度があるので心臓や血管吻合で使用されます。 konoseisakusho. htmlより引用 3号、2号、1号と数字が小さくなるに連れて糸が細くなりますが、1号より細くなると1-0、2-0と数字が大きくなるにつれて細くなっていきます。 5-0で髪の毛くらいの細さなので、それより細くなると持針器で把持するのも難しくなってきます。 10-0などは眼科手術などで使用され、顕微鏡下に縫合されたりします。 針の種類 様々な種類がありますがよく使用されるものを紹介します。 丸針 消化管、血管など臓器に使用される糸。 病棟では基本的に出番は無いと思いますが、手術では丸針の使用が多くなります。 角針 三角形の形で硬い組織でも通過しやすくなっています。 腸などの柔らかい組織で使用すれば組織が避けてしまうので体の中ではほとんど使用されません。 逆に気管切開の絹糸固定など体の表面で使用されることが多いです。 鈍針 見た目は丸針に近いですが、針先が鈍になっており針刺しのリスクが少なく、縫合直下の組織を傷つけにくいという利点があります。 atomvetme. 強強彎のように彎曲が強くなれば深い部位、開腹手術の骨盤操作で使用されます。 まとめ 縫合糸や針は種類が多いですが、きちんと用途ごとに分かれているので特徴を理解すれば覚えやすいと思います。 手術看護では針の渡し間違えは場合によっては事故に繋がるので、しっかりと理解する必要があります。 医師が針や糸を言い間違えることもあるので、看護師が間違いに気がつくことで患者さんを守ることになります。 エラーを未然に防ぐことも立派な手術看護なのです。

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